スティルライフ 文:黄瀬徳彦 S.T,N.E.という名前がつくずっと前から、家具を作り始めた頃のように、シンプルなものを作りたいという気持ちが、自分の中にあることに気づいていた。 でも、なかなかそこへ向かえていなかった。 そんな中、ロサンゼルスでロフトを借り、近所のコーヒーショップに通うようになった。広く言えば、ロサンゼルスという街全体に漂う“抜け感”が心地よかった。自分にはこの“抜け感”が、とても必要なんだと思うようになった。 ある日、ネットで見つけた土地に惹かれ、そこに建つ建物のイメージが浮かびはじめた。 毎日のように現地へ通い、草に覆われたその場所で、ときには日の出の時間に立ち、朝日を浴びながら思いを巡らせた。 この場所にふさわしい建物とは何かを考え続ける。 家のプランを描きはじめると、自然とそこに置かれる家具の姿まで思い描いてしまう。 そんな日々の背景には、いつも haruka nakamura の『スティルライフ』が流れていた。 このアルバムは、家や家具のことを考える時間に寄り添ってくれる。 同時に、頭の中に風を通し、集中へと導いてくれる。 “ただのBGM”ではない。 静かに、でも確かに、前に進むのを助けてくれる。 そんな、ありがたい存在だ。 今これを書いているときも、『スティルライフ』が流れている。 haruka君自身がこのアルバム制作の過程を綴った日誌を読んだ。その中の言葉も、音楽と同じように、ひとつひとつがそこに在るべくして存在している。そこにたどり着くまでの時間と距離を、必要なものとして、丁寧に受け止めている。その姿勢に深く感銘を受けた。 自分はどうだろう。まだまだ足りていないのではないか。 そんなふうに、気持ちを引き締めてくれる。
Still Life
モノを創る 文:黄瀬徳彦 今まで何度か思ったことがある。これだけ世の中にたくさんの椅子があるのに新しく作る必要があるのか?そんなことを考え出すと気分は塞ぐ方向に向かう。真心ブラザーズが歌ってくれる。「モノを創ることをやめられるわけがない」勇気づけられる。ありがたい。
On Creating
山村光春 編集者/コピーライター企業広告、雑誌や書籍、ウェブなどメディアの編集、執筆を手がけるBOOKLUCK主宰。編集教室「やさしい編集室」を運営、リフレクソロジストとしても活動。現在は東京と福岡を行ったり来たり、でも魂は大阪人。Instagram @bookluckandgo 1997年 雑誌『オリーブ』の取材が出会いのきっかけ。2006年出版の『MAKING TRUCK』を企画段階から共に作り、執筆を担当。TRUCKスタートから30年の歩みを知る貴重な存在。
Kvadratのファブリックに出会ったときは、正直、興奮した。無地に見えるのに、実は微妙に異なる糸が織り込まれていて、単色のフラットではない。 その奥行きから生まれる独特の触り心地は、とても心地いい。そして耐久性にも自信があり、多くのファブリックは10年保証が付いている。色褪せやほつれも簡単には起こらない。 これを知ったとき「ぜひ取り入れたい」と思った。そして同時に「このファブリックにふさわしい家具を作らなければ」と強く感じた。
芯のあるものづくり ― Kvadratと出会って
S.T,N.E. をスタートするにあたり、大きなインスピレーション源となった風景があります。モノクロのフィルムで撮影された、山並みの風景。ポスターやタブロイドにも使用されたそれらの写真はすべて、黄瀬が自ら撮影したものです。黄瀬にとって深い思い出のあるその山について綴りました。 S.T,N.E. TABLOID > 大好きな場所 / My Favorite Place POSTER >