「ここをこうした方がいいかな」と思いがちになる自分に、何度も言い聞かせた。
“何もしない” を貫く緊張感があった。工場のみんなの間にも「ほんまに?このままで?」という空気が漂っていた。
完成した棚を店の空間に置いてみた。
その瞬間、心の底から嬉しくなった。
すこぶるいい。すっきりと気持ちがいい。
何も置かなくても成立するし、
ひとつふたつのせてみれば、また違う良さが生まれる。
そこらで拾った枝でも石ころでも、
途端にギャラリーの作品のように見えてくる――
そんなふうに楽しめる棚になった。
主張は限りなくゼロに近い。
それでも、滲み出る存在感がある。
押し付けることはなく、ただ静かに受け止めてくれる。
これだけプレーンであることで、
「何を」「どう」置くのか――
その行為そのものに自由が生まれる気がする。
“Place”という言葉には、場所、状況、そして「置く」という意味がある。
どんな思いで、何を置くのか。
それによって、自分だけの好きな場所をつくることができる。
この棚を通して、そんな時間を楽しんでもらえたら嬉しい。