Chet Sofa

派手な技巧ではなく、抑えた表現と空気感で魅せる。

思いつきで CHET SOFA（仮）と呼びながら試作を進めていた。深い理由はなかった。

暗くなったので撮影を終え、少しだけ灯りをつける。そして「CHET BAKER SINGS」のレコードを大きめの音量で掛け、濃いめのハイボールを片手に CHET に腰を下ろす。想像していた使い方を、そのまま実際に試す時間。きっちり座るのではなく、横を向いて狭い中にキュッと入り込んだり、脚をアームに投げ出したり。あえての“コンパクトさ”を楽しむ。その中で、やはり改良点が見えてくる。

ふと「チェット・ベイカーが何歳の時の作品だろう？」と気になって ChatGPT で調べてみた。驚いたことに、なんと24歳。ジャケットには若々しい姿が写っているが、耳に届く音楽は落ち着き払った大人の世界。そのギャップに強く惹かれる。

Chat さんの説明にあった冒頭の言葉──「派手な技巧ではなく、抑えた表現と空気感で魅せる」──は、まさにこのソファを考えていたときに感じていたこと。その瞬間、確信した。（仮）を外し、このソファの名前はCHET SOFA に決めた。そして、なぜか親しみを込めてChetさんと呼んでいる。