The Heavier the Rice, the Lower It Bows
実るほどこうべを垂れる稲穂かな
文:黄瀬徳彦
いま思えば、父はいろんな話をしてくれていた。
いつも自分の経験談を語っていた。
まだ幼かった自分が、その話をどれほど理解していたかは定かではない。
けれど、気づけば心に染み込み、今も残っているように思う。
父は最後まで、どんなことにも感謝する姿勢を貫いていた。
悪口や愚痴を口にする姿を、一度も見たことがない。
ちなみに母は、いつも明るく笑っていた。
怒ったところを見たことがない。
そんな父がよく口にしていた言葉がある。
「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」。
特別に意識して生きてきたわけではない。
けれど折に触れ思い出し、そうありたいと思う。