Squirrel

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文:黄瀬徳彦


よく道端でモノを拾う。ふとした場所に「これ、いいな」と思うものに出会う。
家の近所でも、出かけた先の歩道の脇でも、空き地でも。
他の人にとっては目にも入らず、そのまま通り過ぎてしまうようなモノが、自分にはすごく魅力的に見えて、つい立ち止まってしまう。そして手に取る。できれば持ち帰りたいと思う。

しまなみ街道を自転車で走っているとき、道路脇の斜面で大好きな枯れたユリの束を見つけた。長さは2メートル近くある。どうする?もちろん持ち帰る。手持ちの道具で工夫して自転車にくくりつけ、大事に大事に運んだ。そのユリは今、S.T,N.E.のショールームに飾ってある。

ロサンゼルスのシルバーレイクを歩いていたときには、何かの植物の葉っぱ(?)を見つけた。これも2メートルを優に超えるサイズ。移動手段はUber。ドライバーは振り返って「そんなモノは無理!」と驚いたけれど、諦めない。「頑張ったらいけるんちゃう?」と笑顔で押し切って、一緒に乗り込んだ。葉っぱはフロントガラス近くまで届いたけれど、なんとか収まった。無事に帰宅し、ドライバーには目一杯の感謝を伝えた。

そういうことがよくある。基本、諦めない。いつも笑顔と工夫でなんとかする。

この写真の木もロサンゼルスで拾ったものだ。部屋に持ち帰って最初はスピーカーの上に置いて、その後は紐を付けて壁に吊るしていた。2024年8月末にロフトを引き払うことになり、家具はスタジオセールをして片付けた。そのとき、椅子を買ってくれたインテリアデザイナーの女性から「もしあの壁の木を残していくなら譲って欲しい」とメッセージが届いた。驚きつつも、わかってもらえたことが嬉しかった。持ち帰るか、譲るか迷ったが、友人のスティーブンが「持って帰った方がいいんちゃう?」と言ってくれて、持って帰ることにした。

いつもそんな“お宝”を拾っている僕を、スティーブンは「スクワール」と呼んでいた。頬いっぱいに木の実を詰めたリスの意味だ。

数ヶ月後、ロサンゼルスからコンテナが届いた。その中に、この木もちゃんと入っていた。改めて見ても本当にかっこいい。すぐにS.T,N.E.のショールームに持っていき、壁にあててみた。すると一段と素敵に見えた。
「よし、ここに掛けよう」と決め、モノづくりの師匠(と勝手に思っている人)に頼んで真鍮の台座を作ってもらい、壁に取り付けた。大満足だった。

S.T,N.E.のショールームに置かれている木や石は、すべてこうした出会いから生まれた“お宝”たちだ。黄瀬部屋と呼んでいる自分の事務所に飾っていたモノをかき集めて仕上げた。だからオープン後、黄瀬部屋はガランとなってしまった。でもそのうち、またあちこちで何かを見つけては、連れて帰ってくるのだろうと思う。

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