Pillar Side Table
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10数年前に、初めて木工旋盤を買った。
今思えば YouTube 先生から学ぶこともできたのに、なぜかそんな発想もなく、ただ試行錯誤する毎日。でもそれが楽しくて、数ヶ月の間ほぼ毎日、何かを削っていた。工場で捨てられる木端からでも何かを作れるのが嬉しくて、どんなものを見ても「これは回転させて作れる形か?」と考えていた。
皿やボウルはもちろん作った。ドーナツ盤を聴こうと思ったら「アダプターがない!」と気付き、夜遅くに旋盤へ向かって削り出した。無事に「そして僕は途方に暮れる」を聴けたときは大満足。焚火のそばでスコッチを飲むことにハマっていた頃は、グラスも作った。DURALEX のグラスを見て「あ、この形も回転系や!」と思い、早速旋盤でベースを削り、鉋で面を出した。それを木型にして鋳型を作り、マウスブロー職人にガラスを吹いてもらった。
もちろん椅子やランプもたくさん作った。その頃に作った商品のあちこちに、旋盤で挽いたパーツが使われている。自分でも「ちょっと多すぎちゃう?」とツッコミながら。
ある日、八角形を回転させて挽いてみた。それが思いがけず新鮮で、想像していなかった形が生まれた。それが TRUCK のランプ T-NA5, T-NA6, T-NA7 になり、Bird の窓際のテーブル脚にも使われた。そしてその発展形として作ったのが、このテーブル。ずとんと太い八角形を削り出し、そのどっしりとした木の塊を一本脚にして石の天板を載せると、今までにない存在感を持つテーブルができた。
“Pillar” は英語で「柱」、ときには「中心的存在」という意味もある。
このテーブルは長さこそ短いが、時には化石を含む石の天板と組み合わさることで、形は違えどローマ時代の柱を少し思わせる。イタリアのバールのカウンターでも石はよく使われる。そんなことを思いながらカフェルンゴを飲み、グラスをそっと置いて石の感触をコツっと確かめるのも、また気分がいい。
4ヶ月
完成品でお部屋の中まで運び入れ、ご希望の場所に設置します。
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