大好きな場所 / My Favorite Place POSTER
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S.T,N.E.の店をつくる過程で、壁に何か絵を掛けたくなった。そんな話をしていたら、TRUCKのイノッチが「黄瀬さん、自分で描いたらどうですか?」と気軽に言うのが、面白い。
ここ最近、フィルム写真の良さをあらためて感じることが何度かあった。よし、フィルムで撮ろうと決めて、友人に紹介された松本カメラを訪ねて思いを伝えると、「フィルム一本買ってきてもらえれば、このカメラを貸しますよ。一度撮ってみては?」と。こうして初めてクラシック・ライカを手にし、その撮影に挑んだ。
夕方前、オートバイにまたがり、大阪の北の端にある山の頂へ向かった。もう四十年近く通い続けている大好きな場所だ。残されたわずかな光の中で、36枚撮り切った。
狙ったのは、幾重にも重なる山のレイヤー。遠くに行くほど色が淡く薄れていくその姿が好きで、ずっと眺めてきた景色だった。
借りたのは1950年代のカメラ。露出計を手にするのも初めてだった。デジカメやiPhoneで気軽に撮るのとは違い、一枚一枚と真正面から向き合うような感覚。カチリと響くシャッター音と指先に残る感触が心地よく、まるで自分が写真家になったような気がした。
モノクロ現像ならこの人、と紹介してもらったのが、銀塩モノクロLAB. STUDIO 5の勢井さん。仕上がりを待つ間はちゃんと写っているのかと落ち着かなかったけれど、「どれもよく写ってますよ」と連絡をもらったときの嬉しさは忘れられない。36枚の中から2枚を選び、バライタ大全紙に焼いてもらった。そのうちの1枚を、このポスターに使った。下には「山の重なり」と題した短い文章を添えた。
壁に貼り、数メートル離れて眺めると、自然と視線が遠くへ引き込まれていく。まるで山の上に立ち、地平を眺めているような気分になる。手元ばかりに目が行きがちな日々の中で、ときにはふっと遠くを見ることが、自分を静かに整えてくれる。
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