Dogs and People
犬と人間
文:黄瀬徳彦
小学校の卒業文集に書いた文のタイトルは「犬と人間」。みんなが林間学校や運動会の楽しかった思い出を書いているなかで、一際異彩を放っていた。
12歳の少年は、そこで何を言いたかったのか?
当時やっていた通信学習の国語で「犬にごはんをあげる」と書いた。すると添削されて返ってきた答案には、赤ペンでバツがつけられ、「犬にエサをやる」と直されていた。それがどうも理解も納得もいかず、そのことをなぜか卒業文集に残していた。
今思うと、“答え”を絶対のものとして、何も考えずに受け入れることができなかったんだと思う。それは、ある意味すごく大事なこと。常に「本当にそうかな?」と考えてみること。
これまで家具を作り、何軒も建物を建て、本を出版したりする中で、その都度それぞれの“プロ”がいて、彼らの常識を突きつけられる。僕は、そんな経験者たちの話をリスペクトを持って聴くのが大好きだ。真剣に耳を傾けて聴く。
でも、“プロ”が「それは無理です」と言ったときに、「そうですか、残念」で終わらせていたらそれまで。「無理です」と言われることは本当によくある。何十回、何百回とそんな場面があった。でも僕は、いつも“アイデア”でそれを乗り越えて生きてきた。「諦めたらあかん」を合言葉にして。
まずは先方の言っていることをしっかり理解する。そこから「ひょっとして、こうしてこうしたらどう?」と瞬間的にいくつもアイデアを出す。すると、「それならいけるかも」と、少し光がさす。そしたらこっちのもので、一緒に作戦を立ててやってみる。そう、やってみるのが大事。
いつもゲーム感覚のようで、その壁を工夫して乗り越えられたときには、大きな満足感がある。実際、その後に生まれる違いはかなり大きいし、何よりすごく楽しい。
小学生のころ、何がそんな自分を育んだのかははっきりとはわからないけれど、あの頃から今につながるものが確かにあったんだなと、遠くに思いを馳せる。結構おもろい奴やったなぁ。