図面を見た石材加工の職人には、最初「こんなのは出来ないよ」と言われた。
穴を開けた短い筒を何本か繋げば可能だが、それではまるで竹のようになってしまう。もちろん、そこで諦めるわけにはいかない。こちらのアイデアを丁寧に伝えると、「出来るかどうか分からないが、やってみましょう」と応えてくれた。
数週間後、思い描いていた通りの姿で石の支柱が届いた。イエィ!
その支柱にシェードを受ける真鍮のパーツを組み合わせ、少し大ぶりでありながらスッキリとした形状のシェードを合わせた。
“おとなTRUCK”と呼びながら進めてきたS.T,N.E.。
完成したランプの佇まいを見たときの感想は、自分のおとな度を少し、いや、だいぶ超えているというものだった。
けれど恐れず、ソファの横に置いて日々使ってみると、これが何とも心地いい。おとな度を引き上げてもらえたのか親しみを感じるようになり、やがて自然な存在となった。
撮影のために持ち出し、代わりのランプを置いてみると、それはそれで悪くはないけれど、どこか寂しく感じた。すっかりその存在が、いい意味で日常の一部になっていたのだ。
スッとした姿だが、それは石。石らしく、ずっしりと重い。そこがまたいい。